人材ビジネスの課題

人材ビジネスの現状と課題とは?

少子高齢化で人口が減少する日本では、その一方でグローバル化が進み、人々の価値観や働き方に対する考え方が多様化しています。
また、企業の経営形態も過去の高度成長期とは大きく変わり、終始雇用制度は過去のものとなりつつあります。

このような状況の中で、人材ビジネスがかかえる課題はどのようなものがあるのでしょうか。求人情報企業の研究室に務める研究スタッフにお話を伺いました。

Q.現在、人材ビジネスが取り組むべき課題と何でしょうか?

A.インターネットを活用した人材ビジネスは就職活動にさまざまな貢献をしている一方、いくつかの課題も抱えています。

そのなかで最も大きな課題が、非正規社員の扱いです。
企業は利益を上げコストを削減するために、一部の正社員を除き、パートや派遣社員といった非正規の従業員を雇用する傾向が強くなっています。
正規社員と非正規社員の待遇の違いには特に注意が必要で、人材ビジネスの立場からでも非正規社員の人の待遇改善、キャリア形成環境の整備、仕事内容が正当に賃金として評価されているかといった点に注意をして、求人希望者のニーズを満たす企業を紹介する必要があると考えられます。

Q.この他にも課題はあるのでしょうか?

A.また、求人を募集する企業、就職を希望する個人双方が満足するように、就職後のミスマッチングを高い確率で防ぐよう工夫することも解決すべき課題です。

せっかく求人サービスを利用して転職を果たしても、その企業が思っていたような待遇をしてくれない、業務内容が期待とは違ったという場合、また転職を繰り返すなどの結果を招いてしまいます。

そのためには、企業、求人者双方に対するきめ細かな聞き取りを行って希望条件のすり合わせを行い、最適なマッチングを行うための技術を向上させる必要があります。
また、このマッチングを一人一人の担当者の能力だけに任せるのではなく、客観的に情報のマッチングが行える仕組みづくりも急がれます。

この他の課題としては、シニア層の働く環境の整備が挙げられます。
現在、転職ターゲットは20代~30代を中心に40代までの人たちとなっています。
しかし高齢化が進んでいますから、今後は45歳以上の人たちからの就職ニーズが高まります。
この年齢の壁をいかに乗り越えるかも、大きな課題となるでしょう。

さらに同業種への転職ではなく、他業種へ転職についてのフォローも考えなければいけません。
今後産業構造が変化し、情報・サービス業の従業者が過半数となると予測されています。
2010年には2,824万人だった情報・サービス業の従業者が、10年後の2020年には3098万人に達すると試算されています。
このような産業構造の変化で、これまで従事していた仕事とは異なる職種に転職を余儀なくされる人も増える可能性が高いのです。

このような異業種への転職は、経験がない業種を体験するわけですから、即戦力となる人材が求められる中途採用では有利な転職が難しくなります。
異業種への転職がスムーズに進めるための教育システム作りなど、新しい試みをチャレンジすのも人材サービス産業に求められるでしょう。