なぜ内定辞退されてしまうのか

人事採用社が頭を痛める内定辞退

2016年卒の新規採用から、採用活動の解禁時期が3月からとなり、例年より数カ月後ろ倒しとなったため、内定辞退が増えるのではないかと戦々恐々となる企業が増えました。

人事部では毎年、新規採用のためのスケジュールを組み、会社周りから会社説明会、書類選考、面接試験と多大な労力をかけて優秀な人材をふるいにかけ、さらに内定後は内定辞退とならないように、さまざまな工夫を行っています。

それでも、内定辞退は必ず発生します。
特に、あまり名前を知られていない中堅会社の場合、内定辞退は頭の痛い問題です。

有名企業の滑り止めとして応募してきた学生は、大手有名企業に採用されたら中堅会社の内定を辞退するのが一般的です。
しかし、有名企業にはかなわないと諦めていたのでは、優秀な人材は確保できません。

有効な内定辞退防止対策とは?

内定辞退を防ぐために、毎年メディアなどで話題になるのが、ユニークな内定式や、内定辞退防止対策による内定者の囲い込みです。

内定後にも緊密に学生とコミュニケーションを取り合って、会社に対する帰属意識を強め、この会社で働こうという意欲を持続させるためにの方法で印象的なのが、グループウェア開発を手がけるサイボウズです。
サイボウズでは毎年秋になると、内定者とその父母を対象にした会社参観日を開催し、内定者の家族をも巻き込んだ関係を作って、会社の良さをアピールしています。

また内定式では、広告代理店のインビジョンのものがユニークでした。
普通内定式というと、社内でリクルートスーツを着用した学生が参加するのが一般的ですが、インビジョンの内定式は野外で行われました。
火起こし式と名付けられた内定式で、木の板と枝を使って火を熾し、その火を使ってカレーを作って社員と内定者で食べるというものです。

屋外でのカレー大会のため、スーツではなくラフな私服での参加となります。
学生と社員が共同でカレーを作る作業を通じて、自然な交流が行われ、会社の雰囲気に自然と溶け込めるようにと考えられた内定式です。

このように人と人とのコミュニケーションを重視して、仲間意識を育てることが、内定辞退防止の一番の方法だといえます。

人事の努力だけでは内定辞退は防げない

ただ、人事部だけの努力ではその効果は限られています。
学生にこの会社で働きたいと思ってもらうためには、魅力的な企業を作るのが最も効果的です。

つまり魅力的なコーポレーションイメージを確立することが、企業利益を高めるだけでなく、内定時代奉仕のための有効な方法となるのです。

そこで参考にしたいのが、自社の社員食堂で出しているメニューのレシピを本にして出版し、一大ブレークを巻き起こしタニタです。
レシピ本の人気によって、あっという間に人々に知られるようになり、その健康的なイメージで就職したい会社として学生からの認知度を高めました。
このような戦略的な企業のイメージアップ活動は、人材採用にも大きなプラスをもたらします。