サイバーエージェントの人事制度

サイバーエージェントが人事制度に力を入れるわけ

アメブロなどでおなじみのアメーバ事業などを始めとするインターネット事業で、急成長を遂げたサイバーエージェント。
1998年に従業員20名で設立したが、現在は6,000名ほどの従業員を擁する有名企業に成長しました。

株式会社サイバーエージェント

離職率が30%を超える時代を経験し、その後人材の重要さを痛感したサイバーエージェントはユニークな人事制度を打ち出し注目を集めています。
画期的な人事システムを次々に打ち出した結果、現在では離職率も7~8%に下がりました。

経済停滞時に育った若者たちの危機意識

終身雇用制が色濃かったバブル以前とは異なり、バブルがはじけた後は会社倒産のニュースが相次いだため、40歳以下の世代は会社に対する危機感を抱いているのが特徴です。
特に若手社員は自分のキャリアに対して焦りを感じる人が多いため、サイバーエージェントでは研修ではなく、職場で決断させることで人材を育成する制度を進めてキャリア形成を進める方針を採用しています。

社員が能力を発揮する人事制度とは?

サイバーエージェントが取り組む主な人事制度は、以下のとおりです。

■CA8
まず、2年に一度取締役の一部が変わるCA8。
サイバーエージェントには役員が8名いますが、2年ごとに役員を2名ずつ交代させる制度がCA8です。
サイバーエージェントでは内閣改造型役員交代制度と呼んでおり、多くの社員に会社経営を実際に体験させることで、経営者視点で働く意識を育てることが狙いです。

■ジギョつく
ジギョつくは、社員がアイデアを経営サイドに提案する人事制度です。
ジギョつくでアイデアが評価された優勝者には、100万円の賞金が贈られます。
ジギョつくのスタート時は年2回実施されていましたが、現在では毎週応募できるようになり、その結果、年間に1,000件の応募が集まる活気ある制度です。

■あした会議
社員からアイデアを募るだけではありません。
経営サイドも新たな事業を立ち上げ成功させなければいけないのが、サイバーエージェントのユニークな人事制度、あした会議です。

実はジギョつくは、ある課題を抱えていました。
応募数は多いのですが、出されたアイデアが事業として成功した事例がなかったのです。
そんなとき社員の一人が発した、「審査員である役員はどんなすばらしいアイデアをお持ちなんですか」という一言がきっかけで、あした会議が誕生しました。

あした会議の順位の結果は、ブログなどで公開されます。
社内だけでなく、社外にも結果が知れ渡るので、どの役員も少しでも高い順位を獲得したいと奮闘します。
その結果、過去にあしたの会議から生まれたアイデアで12社の新規事業が発足し、そのうち6社が今も利益を上げ続けています。

あした会議では役員1人に社員4人が付いてチームとなって、新規アイデアを立ち上げます。
ただし社員は、自分の担当部署以外の人を選ばなければいけません。
役員たちはあした会議が近づくと、チームに参加させる社員を探して他部署を訪れ、さまざまな交流を行います。
これによって役員と社員との間でコミュニケーションが生まれ、会社の風通しが良くなる効果も現れました。

■マカロンパッケージ
サイバーエージェントで最も人気の高い時事制度、それがマカロンパッケージです。
妊活や子育てを支援する制度で、(1)エフ休、(2)妊活休暇、(3)妊活コンシェルジュ、(4)キッズ在宅、(5)キッズ休暇の5つの支援がパッケージされています。

まとめ

自分のアイデアが評価される制度はキャリアアップにつながり、モチベーションが上がります。
さらに、役員交代制度や役員同士が競い合うあしたの会議に参加することで、会社の歯車ではなく自分が会社を動かしているという実感が得られるので、情熱を持って仕事に取り組める環境を整えられていることが伺えます。
そして、妊活・育児といった女性ならではのライフイベントを理解し、家族を大切にしながら働ける職場作りを進めることで、従業員の定着率を上げているといえます。
よく考えられた人事制度で、非常に参考になります。